有限体に順序を定義できないのは、四則演算と両立しないから

不等式

有限体とは、簡単にいうと、整数を素数で割った時の余りの集合で作られる数のことです。

ちなみに、体とは、四則演算ができる数のことです。

 

有限体に順序を定義したい

アマ:

有限体に順序を定義するにはどうしたらよろしいでしょうか?

 

アガ:

なんともわがままな。

なぜ、有限体に順序を定義したいんだい?

べつに、順序などなくても、有限体は便利に使えているじゃないか。

 

アマ:

はい、その通りでございます。

有限体は、四則演算で閉じていて、
体としての性質を兼ね備えている実にシンプルな集合でございます。

これ以上、なにを望む必要がありましょうか?

しかし、有理数体で不等式が作れるのにたいし、有限体で不等式が作れないのが、
なんとも、もの足りないのでございます。

有理数と有限体は、表裏一体、切っても切れない関係にありながら、
不等式という関係でみると、なんともアンバランスな関係なのです。

なんとか、有限体にも、順序という概念を埋め込み、
有理数と対等の議論を展開してみたいのでございます。

 

アガ:

有理数と、有限体の決定的な違いがある!

それは、有理数体は無限集合、有限体は有限集合であるということだ。

不等式を扱うためには、有限集合ではことさら困ってしまうのだ。

無限集合と有限集合を対等に扱うことに無理があるのだ。

 

無限集合から有限集合に格下げされた段階で、順序という関係も消えてしまってるのだ。

 

アマ:

それでは、順序とまではいかなくても、
順序に似たなにか代用ともいえる概念は作れないのでしょうか?

 

アガ:

それはかなわない。順序と四則演算を両立させるためには、

等号の場合に、

  • 「 a = b、b = c ⇒ a = c 」
  • 「 a = b ⇒ a+c = b+c 」

が成立しているように、

順序において、

  • 「 a < b、b < c ⇒ a < c 」
  • 「 a < b ⇒ a+c < b+c 」

という命題が真でなければならない。

これが成立しない順序は、もはや順序と呼ぶにはふさわしくない。

三段論法は、論理の根幹であって、これが破綻すると、
論理展開が極めて貧弱なものとなってしまうからだ。

 

 

アマ:

等号関係と順序関係が同じ性質を持つ必要があるでしょうか?

二つある命題のうち、片方を犠牲にすれば順序ではかくても、
半順序とでも呼べるものができるでしょうか?

 

アガ:

それを研究しているんだろ!

自分で考えた研究テーマなのだから、自分で結論を得よ。

 

アマ:

わかりました。

有限体の場合、
1+1+1+・・・+1と1を標数分だけ足すと0 になってしまいます。

すなわち、0<1が成立していると仮定すると、

0<1<2<3<4<・・・<0<1<2<・・・

の不等式の列ができてしまいますが、
これは、自分自身が自分より大きいことを意味する不等式であり、
非常に都合が悪い(つまらない結果しか生み出されません)です。

 

 

アガ:

そうだ、その通り!

 

アマ:

これでは、等号と不等号の差別化ができません。

有限体では順序が定義できないことがわかりました。

  • 「 a < b、b < c ⇒ a < c 」
  • 「 a < b ⇒ a+c < b+c 」

の片方を犠牲にする事について、順序という点に重きをおくと、
推移率である「 a < b、b < c ⇒ a < c 」は犠牲にできません。

順序に加法が定義されている必然性はありませんから、
「 a < b ⇒ a+c < b+c 」を犠牲にすることが妥当かと思います。

しかし、これでは、不等式を立てたとしても、
有限体が体である性質が十分に活かされません。

したがって、有限体に順序を考えたとしても、
それは体としての特徴がいかされない単なる順序集合としての扱いになってしまいます。

有限体で順序を考えることができたとしても、
それは体としての不等式としては意味が欠けてしまいますから、
有限体で不等式、すなわち順序については考えないことにします。

 

 

 

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